2009年9月8日

中国政府が提供したチベット美術展

以前にも触れましたが、チベットから略奪した仏教美術の展覧会が今月19日より、上野で始まります。何万人と訪れるこの展覧会の背景を知らない方も多いでしょう。ちょっと長いけど、ご一読ください。そして、広めてください。

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チベット亡命政府によると1949年のチベット占領からこれまでに6,000ものチベット仏教寺院が破壊されました。チベットの芸術作品や仏像は中国の文化大革命の名の元、チベット人と僧侶の大量虐殺とともに、徹底的な破壊を受けました。14世ダライ・ラマ法王がチベットの民を憂い、これ以上の犠牲を出さないためにポタラ宮を去り、インドへ亡命されてから50年の歳月が流れています。この間、チベットの情勢はますます厳しい状況に晒されています。

「聖地チベット~ポタラ宮と天空の至宝~」展は、2004年よりアメリカとヨーロッパを巡り、現在、日本各地を巡回しています。この展覧会に展示される仏像、書物、経典は、中国政府が不法な侵略で手に入れた中国共産党の戦利品です。展覧会では「チベット文化を総合的に紹介する」と謳いながら、中国がチベットを侵略した歴史や、ポタラ宮の主であったダライ・ラマ14世については全く触れていません。展覧会の意図は、諸外国による非難をかわすため、表面的にチベット文化擁護を取り繕ろうもので、世界中で展覧会を催すことにより、中国政府は「チベット支配の正当性」を広く認知させようとしています。展覧会を開催することは中国共産党の思想・世論へ誘導する宣伝行為、プロパガンダに加担するもので、自由と正義に対する言論の自由が当然の権利として認められている日本が、中国共産党のプロパガンダに利用されることに懸念を覚えずにはいられません。

チベットにおける本来のポタラ宮殿の役割を正確に伝え、真実のチベットの姿を伝えてほしいという各機関からの再三の要請にも関わらず、主催者はその声に耳を傾けてくれません。開催に於いては日本の大手メディアの他、文化庁や自治体関連機関が多数参加していることも無視できないものです。展示内容は明らかに現在の展示品の所持者である中国政府からの規制を受けたもので、その断片的なチベットの史実の記述から、展覧会を訪れる20万人は超えるであろう日本人に、中国とチベットの関係について誤った理解を与えます。

「聖地チベット ~ポタラ宮と天空の至宝~」展が日本の地で開催されるにあたり、チベットの文化、芸術がこれ以上破壊されることなく、未来永劫、真実が伝わってゆくことを願い、ぜひ、皆さまも展覧会抗議へのご協力をお願い致します。

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