ブータンのチベット医学について調べていたら、ブータンの伝統医療院について書いてある文献を見つけました。面白いので、ぜひ読んでみてください。元国立図書館の館長であったポロン氏は病を三つのタイプに分類していて、「本当の病気、これは医学的な治療が必要」、「悪霊の祟りであり、占いと法要が必要」、「過去世の悪行の結果で、修行をし、善業をつむことによって治す」だそうです。まさにブータン人を見ていると、こんな風に病を捉えているなぁと感じます。伝統医療院の医師ドゥンツォ氏によると「病」とは、心配事・不安・ストレスによって身体に影響が及び、身体活力が弱り、そして弱った身体に悪霊もしくは神霊が侵入することで生じるそう。侵入する悪霊はポタニ(主に死者の霊)と呼ばれ、ポタニが憑依して病を引き起こすと信じているそうです。病の発症メカニズムは、人のなかに存在する「欲」・「憎」・「嫉妬」で、これらに囚われる生活をしているとポタニの侵入を招き、仏教で説かれる424の病のみならず、現代は1032の病があるそうです。西洋文化圏の関わり方としては悪霊や精霊の排除を呪法などで行いますが、ブータン医療の元となるチベット医学では、悪霊、精霊、死者の霊であっても「自然」に属すると考えるので、排除や征伐するのではなく、求めるものを与え、それを有るべき場所へ導くそうです。こんなところにもお慈悲があるんですね。ブータンの治療では先に僧侶が法要をしたり、祈祷師がプジャをして、それで効果がない場合に、薬草などを用いるそうです。病の発症は先ほどあったように「欲」・「憎」・「嫉妬」であるので、これらからの解放、すなわち「諦観」することにが治療になる。「足るを知る」ことにより、平安を取り戻していく。なので、仏教的な教えを解くことが伝統医療の根本なんですね。
西洋医療で育った者からみると、ちゃんちゃらオカシイ考えかもしれないけど、私にはかなりしっくりきちゃいます。
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