明日、日本に立ちます。本当にあっという間で、親戚が入れかわりしていたのもあって、こっちの友人に会う余裕もありませんでしたね。タシさんと妹リンジンはテンちゃんから離れません。きっと空港で泣くだろうなぁ…。ほんと、子どもの持つ力、存在そのものですが大きいですね。逆に日本の家族はまだか、まだかと心待ちにしています。アパートの皆さんも「テンちゃん、テンちゃん」と、とても大切にしてくれるし、幸せな子だなぁと思います。妹が「なんでテンちゃんはこんなに力が強いの?」と。おじいちゃんはアジア柔道の金メダル、お父さんはアーチェリーの国のチャンピオンです。「怪力」の遺伝子を持っています。私も家族から「怪力ミコちゃん」と呼ばれてました。夢はオリンピック柔道の金メダルでしょうか・・・。
ブータンに暮らして分かったことがひとつあります。この国の色んな問題の根本に「仕事がない」ことがあるんですね。テストを盗むために学校管理人を殺しかけた事件も、大学を出てなければ絶対に就職は出来ないし、大学を出ていたって仕事に就けないくらいです。なので、仕事のない人が大勢いて、でも、土地バブルでトンデモナイ金持ちがいることを知っているので、心の中で「いいなぁ」と思う気持ちと、自分にはお金を稼ぐ術がないという、将来の不安の両方を持った、夢のない人がたくさんいます。日本と違って職種がいっぱいあるわけでもなく、アルバイトだってなかなか就くのは難しかったり、しかも、仕事はツマラナイ・・・。ブータン人と日本人の大きな違いは、仕事に対する価値観もあります。仕事って成果をあげた達成感で、益々、仕事が楽しくなり「やりがい」を感じたりしますが、ブータン人で仕事に「やりがい」を持っている人は、ほんの一握りのように思います。仕方がないからやっている・・・、日本人もそういう人も多いかもしれないけど、そう思いながらも、きちんと仕事はこなしますよね。仕事って楽しいものだと思っている人は少ないと思います。政府がもっと仕事を与えてあげればいいのですが、政府もそんな余裕もないし、なんの仕事を与えて良いのかアイデアも浮かばないでしょう。外国人の私から見ればこの国は問題だらけ。問題があるといことは、それは仕事になるし、ビジネスチャンスでもありますよね。そこのところにうまいこと外国に支援が入るといいのになって思います。グラミン銀行のようにはいかないかもしれないけど、仕事とはどういうものか、仕事をつくるにはどうすればいいのか・・・など、日本なら得意とするところですね。お金を貸したら返さない人が多いので、特に男性は遊ぶことばかり考えているので、注意が必要ですが、チャンスさえあれば頑張れる人もいるでしょうし、それを見て自分も頑張ろうと、夢を与えてあげることが、この国に必要ですね。
そして、この国をよくするために、もうひとつは土地バブルを政府がコントロールする術を持った方がいいですね。でも、これには難関が。王族の多くが土地を持ち、バブルの極みにいるから、無理でしょうね。国王や先代国王は質素であることを気にされてますが、おんな・子どもはそういう訳にはいきませんね。妹の彼氏の家はプリンセスと仲が良いのですが、毎年旅行に行きます。今年はカルカッタへ11人、旅費はすべてプリンセスのおごりのお買いもツアーです。昨年は24人で香港だったそうです。だからといってブータンがGNHの国ではないとは思いません。幸せでない部分があるからこそ、GNHは必要なんですよね。本当に奥の深いブータンです。
(写真:皆既月食。ゴーストが月を食べるという風に思っているので、「月を返せ~」と、街中でシャウトする声が聞こえ、まるでサッカーの試合のような盛り上がり)