2011年12月14日

明日、日本に立ちます。本当にあっという間で、親戚が入れかわりしていたのもあって、こっちの友人に会う余裕もありませんでしたね。タシさんと妹リンジンはテンちゃんから離れません。きっと空港で泣くだろうなぁ…。ほんと、子どもの持つ力、存在そのものですが大きいですね。逆に日本の家族はまだか、まだかと心待ちにしています。アパートの皆さんも「テンちゃん、テンちゃん」と、とても大切にしてくれるし、幸せな子だなぁと思います。妹が「なんでテンちゃんはこんなに力が強いの?」と。おじいちゃんはアジア柔道の金メダル、お父さんはアーチェリーの国のチャンピオンです。「怪力」の遺伝子を持っています。私も家族から「怪力ミコちゃん」と呼ばれてました。夢はオリンピック柔道の金メダルでしょうか・・・。

ブータンに暮らして分かったことがひとつあります。この国の色んな問題の根本に「仕事がない」ことがあるんですね。テストを盗むために学校管理人を殺しかけた事件も、大学を出てなければ絶対に就職は出来ないし、大学を出ていたって仕事に就けないくらいです。なので、仕事のない人が大勢いて、でも、土地バブルでトンデモナイ金持ちがいることを知っているので、心の中で「いいなぁ」と思う気持ちと、自分にはお金を稼ぐ術がないという、将来の不安の両方を持った、夢のない人がたくさんいます。日本と違って職種がいっぱいあるわけでもなく、アルバイトだってなかなか就くのは難しかったり、しかも、仕事はツマラナイ・・・。ブータン人と日本人の大きな違いは、仕事に対する価値観もあります。仕事って成果をあげた達成感で、益々、仕事が楽しくなり「やりがい」を感じたりしますが、ブータン人で仕事に「やりがい」を持っている人は、ほんの一握りのように思います。仕方がないからやっている・・・、日本人もそういう人も多いかもしれないけど、そう思いながらも、きちんと仕事はこなしますよね。仕事って楽しいものだと思っている人は少ないと思います。政府がもっと仕事を与えてあげればいいのですが、政府もそんな余裕もないし、なんの仕事を与えて良いのかアイデアも浮かばないでしょう。外国人の私から見ればこの国は問題だらけ。問題があるといことは、それは仕事になるし、ビジネスチャンスでもありますよね。そこのところにうまいこと外国に支援が入るといいのになって思います。グラミン銀行のようにはいかないかもしれないけど、仕事とはどういうものか、仕事をつくるにはどうすればいいのか・・・など、日本なら得意とするところですね。お金を貸したら返さない人が多いので、特に男性は遊ぶことばかり考えているので、注意が必要ですが、チャンスさえあれば頑張れる人もいるでしょうし、それを見て自分も頑張ろうと、夢を与えてあげることが、この国に必要ですね。

そして、この国をよくするために、もうひとつは土地バブルを政府がコントロールする術を持った方がいいですね。でも、これには難関が。王族の多くが土地を持ち、バブルの極みにいるから、無理でしょうね。国王や先代国王は質素であることを気にされてますが、おんな・子どもはそういう訳にはいきませんね。妹の彼氏の家はプリンセスと仲が良いのですが、毎年旅行に行きます。今年はカルカッタへ11人、旅費はすべてプリンセスのおごりのお買いもツアーです。昨年は24人で香港だったそうです。だからといってブータンがGNHの国ではないとは思いません。幸せでない部分があるからこそ、GNHは必要なんですよね。本当に奥の深いブータンです。
(写真:皆既月食。ゴーストが月を食べるという風に思っているので、「月を返せ~」と、街中でシャウトする声が聞こえ、まるでサッカーの試合のような盛り上がり)

2011年12月12日

未来は・・・

ここ最近はネットが繋がらず、銀行なども全部ダウンして大変でした。繋がったり切れたりはストレスになるので、パソコンから遠のきました。さて、ティンプーの北はとても好きな場所で先日タシさんとドライブに行きました。黄葉が進み、とてもきれいで、少し奥まった静かな所にあるワンチュクリゾートに寄ると、静かどころではなく、警察がぞろぞろ。ウェディングパーティをしていていました。有名歌手が歌っていたので、しばらく聴き、トイレを拝借しました。大臣も大勢いて、私たちは民族衣装を着てなかったので陰で見てましたが、民族衣装だったらドサクサにまぎれ、ご馳走にありつけたのに・・・と、2人同じことを。200人くらいはいたでしょうね。昔は結婚披露宴はなかったそうで、益々、貧富の差が拡がるブータンを垣間見た気がします。首都と首都以外では、世界が違うと思える状況になってますね。日本のような相続税が掛からないので、土地持ちの豪族はバブルにのって、益々リッチに、そうでない人は貧乏なままです。妹とそんな話をして、「どっちがいい」と聞けば、もちろん「リッチ!」と応えましたが、「この国は貧しい人がいっぱいいるのに、自分だけ幸せになれば良いの?」と聞いてみたら、「やっぱりリッチだと、益々リッチになることやスタイルばかり考えるようになるから、このままでいい」と。可愛い妹です。ブータン人の中には、GNHは形だけで国にうまいこと騙されていると考える人もいますが、基本的には心に重きを置く人が多いと思います。ただ、今の若者は真からの仏教徒ではなくなりつつあります。情報化社会で育った彼らは、仏教の教えを基本として生きるのではなく、自分の欲望を満たすことに傾きかけているのは確かですね。先日の統一試験前に学校にテストを盗みに入ったグループは、管理人の頭蓋骨が骨折するまで殴りました。手術で一命はとりとめたものの、場合によっては死に至ったかもしれません。蚊さえ殺さない、殺生絶対禁のこの国で、テストを良い点数にしたいがために、盗みに入り集団暴行をした事件に国民はかなりショックを受けているようです。その後、他の学校でも類似のことがあったり、先日は警官と言い合いになり20人以上の若者が3人の警官を暴行し、2人は危険な状況にあります。幸せの国で、心の豊かさ、自由度が日本よりも高い分、欲が出ると歯止めが効かないような気がしますね。情報化社会は真の仏教徒を作り出せなくなる可能性があるように思います。国王や政府は外へのアピールは充分出来たと思うので、ブータンの今の問題について、何か策を打たないといけませんね。

日本と違うな、と感じるのは恋愛についてです。結婚していても他と付き合ったりする率が断然高いですね。自由恋愛の度を超えた感じです。日本の場合は「不倫」として隠しているから分からにのかもしれませんし、ブータンの場合は人口が少ないので、噂話で情報が入って来るから率が高いと感じるのかもしれませんが、周りにとにかく多いです。元々、重婚OKだし、一夫多妻とその逆もありなので、ベースの違いがあるかもしれませんね。ちなみに既に結婚していて、更に他と結婚する場合、黙っていることが多いので後で問題になります。日本がブータン人と付き合う場合は、そういったベースの国だと思っていた方がいいですね。日本人も重婚の家があったり、妻子があるのを知ってか知らずか付き合っている人もいます。日本人はお金がある、またはお金を作り出せる能力があるため、それを期待し結婚したり、付き合ったりして、他の妻子を養うために日本人との結婚をしている人もいます。たぶん、日本の人が考えているより、ブータン人はかなりしたたかです。それと男性は付き合って、子どもが出来ると逃げる、またはお金を支払って別れる人も多く、残念なことに大家さんのところのご家族も、2年以上付き合い、子どもが出来たら男性は逃げ腰で、また父親のいない子どもを産むことになりそうです。でも、赤ちゃんはすごく大切にするので、その点では少しホッとしています。

来週には義弟を連れ、里帰りします。弟のビザのリミットである3ヶ月間いますので、良かったら、遊びに来て下さい。弟は今時の若者とは違い、仏教をとても大切にして、なるべく良く生きようとしているのが分かります。成人までか成人近くになる程度まで田舎で育った人は本当に心が優しく豊かです。青年期に首都で育った人は、欲望の塊だったり、欲望のコントロールが出来ない人が多くいるので、かなり注意が必要です。弟は1年少し前まで、電気のない暮らしをしていたので、首都ティンプーを「大都会」と言っていますので、東京をどう感じるでしょうか。素朴な疑問で「昼ごはん・夜ごはんは立って食べるのか、座って食べるのか」と聞かれ、笑ってしまいました。しかも、なぜ朝ごはんは入らないのか…。きっと、テレビで立食パーティの模様でも見たのかと想像します。
 (写真:2歳になりました。幸せすぎる2年、妊娠中を入れるともっとか…)