2012年5月9日

生死、共にあり


アパートの大家さんのお母さん(アンゲ)が固形物を食べると吐血する状況で、その度に輸血をしていましたが、もう輸血は嫌だと、病院行きを拒み続け、どんどんと弱っていきました。先日、調子がよく話せるから来てと言われ、行ってみると、「今日辺りに死ぬ気がする」とアンゲ。その時は大丈夫よ、と笑っていましたが、やはり貧血がひどいのか、呼吸も荒くなり、酸素マスクをずっとするようになり、ときどき意識が遠のく状態です。家族や親戚も集まり、アパートも家族のような付き合いなので、みんながアンゲに「病院へ行こう」と説得したけどダメで、その夜はアパートの男性陣はいつ病院に行くか分からないので、旦那も含め、夜中まで待機していました。病院に行くまでが辛いのと、輸血の針がうまく入らず、痛いのだと思います。アンゲの娘である大家さんは、シッキムで何万回と五体投地をする行をしていましたが、アンゲ自ら電話し、やっとティンプーに到着しました。そんな中、アンゲの世話をしていた姪っ子が、反対側の部屋で男の子を昨日、出産しました。アンゲが心配するといけないので、雄叫びをあげずに静かに産み、生まれたことをアンゲは知りません。予定日より2週間早く、助産婦も居ない中、ブータンの女性達はたくましく、うちに「体重計ある?さっき、産まれたの」と、もうビックリたまげました。赤ん坊の父親は、妊娠が分かるとそそくさ逃げ、結局、裁判で6万円程度のお金だけ支払い、もう関係はありません。産婦は父親の居ない2人目の子を産みました。最初の子は、僧侶にさせましたが、仕事もなく子どもを女一人で育てて行くのは難しく、学校の副校長をしている大家さんの弟夫婦が、親として育てて行くことにするそうです。同じアパートに住んでいるので、子どもは皆で育てる感じですね。ブータンでは、子どもが多い家や少ない家は、親戚同士で養子にさせたりすることがあります。子どもに罪はないので、私も出来る限り、仲良く子育てを手伝っていきたいですね。
ひょんなことから、タシさんの会社に新たな仕事の依頼がありました。最近のブータンブームで、テレビなどで取り上げられることが増えていますが、マスコミのコーディネートのお話でした。日本に里帰りした際、たくさんブータン関連の番組を見ましたが、正直、なんだかなぁと感じるものばかり。前にドキュメンタリー制作に関わっていたこともありますが、どうもミーハーが苦手なので、どうしようか久々に迷いましたが、タシさんは「やっていきたい」と言っているので、贅沢言える立場ではないけど、内容によって選ばせてもらおうかと思っています。本業(旅行会社)を疎かには絶対にしないよう、コントロールが必要ですね。ドキュメンタリーを基本に、タレントが出てくるようなのはお断りしたいと思っています。出て行く物の責任を持てないのが大きな難点で、それが本当にブータンにとって、日本にとって、人間にとって、地球にとって良い物かどうか、深く考え判断していきたいなって思っています。国王夫妻の来日で良い面もありますが、深さと言う面でどうも納得いかない感があり、ブータンに住む日本人を取り上げたいという雑誌やテレビの取材は断ってきました。マスコミも色々な人がいるので、この辺りは自分の経験知や勘をフル稼働させ、無理なくやっていこうかと思っているところです。
(写真:玉ねぎムむきむきのお手伝いが得意)

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