2012年4月21日

民主主義


義弟の子どもが産まれました。3人目の男の子です。パパは女の子を期待していたようで・・・少しがっくり。ブータンの病院に入院すると、家族が食事を持って行きます。一応、病院でも出るようですが、まずいそうです。うちでも、旦那と義弟2人が大騒ぎしながら、牛肉スープやおかずを作って、日に3度、届けていました。私はブータンのしきたり、妊婦に何を与えていいか知らないので蚊帳の外。バターたっぷりの肉スープは、母乳が出なくなりそうな気がします。けど、これがブータンの文化なんですね。産婦はしばらくエマ(唐辛子)は控えないといけませんが、つらいそうです。
GNHが内外に先行し、実質が伴っていなかったブータンは、バブルはじけて、彼らの辞書にはなかった“反省”をしています。危機に気づきいて改革が始まりました。純粋な分、何にでも興味を示すブータン人はドラッグに関しても、日本人のとは違って手軽な感じです。職を持てないでゴロゴロした若者達が、格差社会で置いてきぼりになって、ドラッグにハマっています。若い男の子でドラッグをやったことない人の方が少ないんじゃないかと思えます。職がなければ生きていけないのが人間ですね。国は取り締まりを強化すると言いますが、仕事を作ることも必要ですね。妹の彼は政府主催のビジネスクラスに行っていますが、チャンスを貰える人はごくわずか。ここに通ったところで、発想がプアなので仕事はできないでしょう。こういった面で海外支援があるといいな、と感じます。家を訪ねに来る、物乞いの子どもも多くなりました。あまりの早い近代化に犠牲となっているのは若い人達のような気がしてなりません。彼らだけが悪いんではないと思います。元来、今を楽しむのが上手なブータン人。格差社会で成金になった人達は品がなく、金持ち学校に通うけど、エンジョイすることに熱心で、教師が叱ると「金、出してやってる」と反論するそうです。先日は親が先生をぶん殴り、歯を折ったとか。今の子ども達の問題は、親世代の責任です。ただ、その親も急速な近代化・格差社会のゆがみに戸惑い、ブータンが大切にしていたスピリットを、物やお金で忘れつつあるのでしょうね。国王が首都の学校を訪れ、勉強に励みように毎年お話をしますが、最後に国王から「要望はないか?」の問いかけに「結婚を祝う歌が歌いたい」と。さすがの国王もお怒りになったそうです。バカにされた原因は国王にもあると思います。人気を得よう親しみやすく国民に近づき過ぎたので、軽く見られたのでしょうね。
ブータン人は対等という感覚を持つ人が少ない気がします。何かと「あの人は偉い・あの人はダショー・あれはロイヤル・あそこはお金持ち、など」。人間に優先順位をつけるのが得意です。まだ真の民主化はされてないんですね。政府家であれ、対等であるべきで、尊敬はあっても、権力ですべてを治めるブータンです。この価値から抜け出せた時、第4代国王が望んだ民主主義国家となるのでしょう。若者たちが自分を信じ、考える力を身につける教育が一番必要なんですね。
(写真:ダライ・ラマ法王が最近、祝福したホクレア号。写真は5年前のカワイハエ)

2 件のコメント:

灰色ウサギ さんのコメント...

やっとやっと読みかけの「仏教への旅ブータン編」五木寛之読み終えました。しかし何も新しいものを見つけられませんでした。
有名な作家であっても現地に住み身を持って体験して肌で感じている方の記事には歯が立たないということです。
外から観光客と同じ目線で見るブータンと中から見るブータン、まるで違います。

いつもブログとツイッター楽しみにしています。
ブータン滞在中私もプナカ近くでブータンナンバーとすれ違いました。おそらく国王です。その日の午前中プナカゾンにおいでになったと新聞に出ていましたから。
でもタシさんがオートバイの王様を見られたのはすごい。私はお顔を見てないもの。

4代国王妃の手記はすごかったです。高かったですが、あれは大切な私の蔵書の中の1冊です。
もう一度行きたいなあ、機会が有ったら今度はタシさんのガイドで。

T&M さんのコメント...

灰色ウサギ さん、こんにちは。

私がブータンに来るきっかけになったのは、五木さんの番組「仏教への旅」でした。
カルマ・ウラ氏との対話で、日本の自殺者が毎年3万人を超えることに対し、最近多い殺人も自殺も、共通することがある…との話で、ハッとさせられましたよ。

4代国王妃の手記は、何と言うものでしょうか?私も、ぜひ読んでみます。