2009年2月6日

温故知新

昨日の新聞に三菱一号館の復元記事が載っていました。オフィスビルが日本に出来た最初の頃のビルで、その辺りは通称“一丁倫敦”と言われ、ロンドンの街並に似ていました。私は前職で建築の専門図書館で仕事をしていたので、一丁倫敦と言われた当時の写真や図面などに触れる機会がありました。ビルの美しさだけではなく、そこを通る人や車など、とても素敵だなぁと思っていました。今回の建築では一号館の復元ビルと、背後に高層ビルが建っており、一号館内には美術館ができるそうです。丸の内にちゃんとした美術館があるといいな、と思っていたので楽しみですが、ブータンへ行ってしますので見に行くのはいつになるでしょうか。最近は前の形を復元したビルがたくさんありますが、デザインは似ていても否なる物で、私はいつも残念に思うのです。どうして日本はそういったパターンにしか出来ないのでしょうか。壊して建て替えるのではなく、外観や内装を活かし、構造を強化することは出来ないもんでしょうかねえ。私は最初に勤めた時の“丸の内ビルヂング”がとても好きでした。旧丸ビルに思いが在る人はたくさん居ると思います。私のお気に入りはお手洗いでした。広々として、いつもお掃除の方がなめるように磨みてピカピカで石はすり減っていましたが、光り輝くお手洗いでした。その丸ビルの基礎には松杭が5000本以上埋まっており、水分があったので全く腐ってはいませんでした。その松杭を使った記念品をいくつか手がけました。建替えの頃は環境保全の担当で野鳥の自然情報センターをやっていたので、松を使ってフクロウの置物を2種類作りました。朝日と読売に出たので反響が大きく即売し、その後も何ヶ月にも渡り問い合わせがありました。そこまで愛されるビルって、すごいと思います。愛されるビルにはそこを使う人達の思いが宿り、ビル自体に魂があると思います。日本ではそんな素敵なビルを壊して、なんとなく似た感じの直線的なビルを建てます。味がありません。ビルに思いが湧きません。そんなビルは働くのも見るのも疲れてしまいます。一度壊してしまったら、おしまいなのです。新しいことが全て良いとか限りません。古ければ古いほど良いものはいっぱいありますね。彼が来日中に銀座に用事があり、その帰りに歌舞伎座に寄りました。既に建替えが決っているそうです。

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