2008年10月30日

身体性の叡智

ちょっと不思議なことがありました。今週月曜、会社の入っているビルを眺めながら、フトあの階段から落ちたら死ぬだろうなって思いました。今日分かったのですが、前日に女性が身投げしたそうです。偶然かもしれませんが、なにかを感じとったのかもしれませんね。昨日、神社の方が御祓いをして下さいました。もし、その方と出会ってお話が出来ていたら・・・なんて悔しい思いがします。ご自身もですが、自殺は家族をも殺すことと同じなんですよ。お母様の気持ちを思えば悲しくって仕方がありません。日本の自殺者数は異常過ぎです。日常茶飯事になってしまいました。ブータンのGNH研究所の所長で、日本で暮らした経験もあるカルマ・ウラ氏は自殺について「日本人は物事をつきつめて考え過ぎる傾向にある」と言及しています。
私は彼といるとたまに、のんびりしていて、考えが甘いよなぁ~と感じることもあるのですが、味方によってはこれも良いことだなぁと感じるようになりました。合理性や結果の良し悪しばかりを気にするクセがつき、自分で自分を苦しめることがありますね。仏教の教え“中道”は、対立し矛盾する二つの極端な概念に偏らない自由を意味します。自分が苦しいなって感じる時には、どうも極端になっている場合が多いように思いますね。今日、ボスと“身体性”について少しお話しました。どうも最近は自分のことだけしか考えられない人が多いように思えます。もう日本の風景になっていまいましたが、救急車が来ようがみんな平然と信号を渡ります。その場を早く走りさろうとか、止まって車を行かせようとか一切しないのです。走るのが恥ずかしいからでもないようです。救急車も事故を起こさないようにゆっくり交差点に入るのですが、けたたましいサイレンは、もう意味をなくしてしまいました。一秒でも早く病院に着かせてあげたいと思いはそこにはありません。自分のことだけしか見えない人が増えてしまっているんですね。自分は自分、他者は存在さえしない状況になってきています。これらの要因として、身体性の欠如があると感じます。自分の中に他者があり、他者の中に自分があるという、身体性の持つ叡智が失われつつあると感じました。
明日の早朝、いよいよダライ・ラマ法王が到着されます。最近、なんども夢に登場されてる状況ですので、ドキドキです。法王さまからのお智慧を、皆さんとシェアできればと思っています。

2008年10月28日

クマ・くま・熊!!

姉はいつも何か作っています。大好きな2時間ドラマを横目にチクチクチク。ブータンに一緒に行きたい子、手あげて!ちょっと、たぬき気味のクマちゃんが手をあげました。

2008年10月27日

与えられたものは大切に

私は整理整頓の達人です。これは小さい頃からパパさんに、こっぴどく教育を受けた影響です。お部屋を片づける時にいつも考えてしまうのが“いただき物”ですね。私の場合、きっとずっと使わないだろう・・・とか、タイプでないなと思った物は、いさぎよく人に譲っちゃたり、バザーに出したりしちゃいます。部屋のどこかで日の目を見ずにしまい込まれるより、必要な人の所で大切にされた方が幸せだと思っています。もちろん頂いた人や物は忘れないし、お返しをする時は好みとか、欲しがっていた物とか、結構考えます。あげて満足するのではなく、相手をどう満足させられるかが勝負所です。自分の気に入った物に囲まれていたいと思うし、その方が快適で幸せですから。与えられた中で、最も大切にしたいのは“からだ”ですね。自分の意志で生まれた訳ではなので、与えられたものだと思います。さすが“Made in 神様”だけあって、うまく出来ていて、おろそかにしたり方向が違っていたりすると、サインを送ってくれます。ただ、そのサインに気づくかが、生きる上でのポイントのようですよ。私もいま、手が痛くてコーヒーカップさえ持つのに響きます。このサインをちゃんと受け取り、大切にしたいと思います。ストレスなどで私の小さな脳みそをシェアされるのは嫌なので、それに打ち勝つ必殺技は“妄想”に限りますね。孟宗竹のようにグングンと妄想して、“楽しい”が締める脳の割合を拡げるようにしています。私は電車の中で笑いがこらえられず、よく危ない人になっていますよ。高校生時代のあだ名“あぶ”はまだ健在ですね。(写真はMt. Jomolhari・・・クリミーでおいしそう)

2008年10月24日

仲間は世界中にいます

今日は巷で噂のブータン料理店に行ってみました。辛さは日本人向けにかなりマイルドにしてあったので私もおいしく食べれました。みんなもブータン料理を気にいったようで「私もブータンに住める!」と豪語していましたが、酔っぱらいの勢いでしょうね。さて、最近は仕事が少し忙しくなりました。もうすぐダライ・ラマ法王が来日されますが、今回もお手伝いをさせていただいてます。そんなこともあってパソコンを使う頻度が多く、持病の腱鞘炎が少し痛いです。今年は4月の記者会見、7月のお誕生会、そして今回の講演といい、法王さま関連の仕事が多く、不思議な感じがしています。法王さまに関われること自体がチベット人の方を思えば、幸せなことなのかもしれませんね。今日、チベットの問題について、米国の公人がいらっしゃいました。オリンピックが終わり、チベット問題も終息したかのように思われていますが、この問題は今もなお続いています。映画のダライ・ラマ篇を久しぶりに見ましたが、何度も涙があふれそうになりました。法王の本当に美しい笑顔とその裏にある悲しみが私の中で交錯し、たまらない心境になりました。米国の方も涙を流されていました。チベットの悲しみを同じように憂い、一緒に頑張ろうという前向きな気持ちを心に誓いました。私がブータン人と出会って、垣根なくコミュニケーションできたのは、その前にチベット人達との交流があったからだと思います。彼らも、とても穏やかで、どんな時でも前向きで明かるく、とても素晴らしい民族だと思います。

2008年10月21日

視力回復術

最近、視力が落ち、目が悪いってことは不便なことだなぁと実感しました。といっても右目1.5から1.2になっただけなのですが、何か違う気がします。私はブータンに行くことで楽しみにしているひとつに“鳥”があります。なにも食べようという訳ではなく、鳴き声や姿から、なんの鳥なのかを認識する、ただそれだけのことなんです。普段の生活で鳥の存在を意識している人は少ないですね。でも、私の周りには鳥マニアが何人もいます。私の鳥はじめは、前職で自然情報センターのプロデューサー的なことをしたことがきっかけでした。最初は私も、なんでそこまで鳥に大騒ぎするの・・・なんて思っていましたが、意識し始めると普通に都会を歩いているだけで、結構、鳥だらけなので大変なのです。素人さんは東京で見られる鳥は、スズメとカラス、ハトぐらいと思っているようですが、あまいですよ。通勤のバス停で、ふと空をカモが渡って行く姿など見ちゃえば、もう興奮です。仕事でラジオに何回か出たことがありますが、そんな時は、にわか鳥博士で、「いま、どんな鳥がみられるんですか?」という質問に「ヒヨドリなら何処にでもいますよ、ヒーヨヒーヨって鳴いているのでヒヨドリって直ぐにわかりますね。」と、やってました。同期が偶然に放送を聞いていて「スゴイ鳥に詳しんだね」なんて言われたりしましが、鳴き声や姿で見分けがつくのは都会の平地で見れる鳥くらいですよ。ブータンを歩いていたら、私にとってはめずらしい鳥さんが普通に近くで見れたので大興奮。あまり興奮すると彼も驚くと思って、心の中でキャーって感じでした。その内、マニアだとバレますね。ブータンへはもちろん双眼鏡持参です。

業務連絡

最近は私より友人たちの方がブータンに詳しかったりします。色々楽しいこと、おしえてね。さて、テレビ番組のご案内です。10月22日(水)19:00~19:45 にNHK教育テレビで『一輪車でブータン横断』(再放送)があります。録画をお忘れなく。以下は番組宣伝より。
日本の子どもたちの間でも人気の高い一輪車。番組では、カナダのマウンテン・ユニサイクリストがヒマラヤの秘境、ブータン王国の横断に挑みます。マウンテン・ユニサイクリングは、特殊な一輪車を用いてオフロードサイクリングに挑むスポーツです。ブータンの険しい山岳地帯を一輪車で駆け抜ける姿は、スリル満点!また、旅の途中、地元の人たちと交流することで、ブータンの文化や人々の暮らしを体験します。マウンテン・ユニサイクリングという新しいスポーツとブータンの魅力を存分に伝える番組です。

2008年10月19日

あだ名はあぶちゃん

最近、皆さんが結婚の祝福をしてくれます。今日は久しぶりに高校の同級生と会いました。仲良し12人のうち遠い所に住む友達を除き、8人が集ってくれました。みんなと最後に会ってから2~3年は経過してると思いますが、不思議ですね。話していると会わなかった期間なんか無かったような感覚に陥ります。毎日一緒に楽しく過ごした、あの時期に戻ってしまいます。違うのは結婚している友人の子ども話しが出る時くらいかなぁ。子供の成長はとても早く、この時ばかりは時の早さを感じます。子供達の成長はとても楽しみなことで、嬉しいことです。言葉に遠慮がいらず、ゲラゲラと笑い合える友達はとても大切な存在ですね。その友人達もやはり彼に会いたいと言ってくれます。来年1月に来日しますので、どうぞ楽しみにしてて下さいね。それまでに英語を勉強しておいてくださいね!当たり前のことだけでど、同級生は同じように年を重ねていくので、なんだかとてもホッとします。おばあちゃんなるまで、仲良くしてね!どうもありがとう。(あぶより)

2008年10月17日

ストライク

少し気が早いのですが来年、2009年7月22日に皆既日食があります。日本ではトカラ列島でよく見ることができます。一番バッチリなのは悪石島(すごい名前)です。奄美大島、屋久島のほか、硫黄島でも見ることができます。東京は75%欠けですが、楽しめますね。東京では9:55に欠け始め、最大が11:12、食の終了は12:30です。ランチ終了と同じかもしれませんよ。きっと来年の夏は盛り上るでしょう。だって、皆既ですよ、ぜんぶ太陽が隠れちゃうんです。もう今から興奮しちゃってます。一番長くて6分は皆既状態だそうです。トカラ列島や奄美などは既に宿は取れない状況ですので、テントで寝たとしても、交通が取れないかもしれません。来年見逃せば、次は26年後の2035年です。皆既日食を見られる場所は日本だけではなく、インドの方からポリネシアまで見ることができます。いろいろと調べていたら、なんどブータンはド真ん中じゃありませんか!赤いラインが食の中心で、6分ほど皆既になる所です。紫のラインまでが皆既帯なのでブータンは、ほぼ国まるごと楽しめ地域です。紫ラインに近づけば近づくほど、皆既の時間が短くなります。ブータンの人々の反応も楽しみです。まだまだ情報が渡っていない地域も多いので、驚く人もいるかもしれませんよ。引き続きブータンの日食状況をリサーチしたい思います。トカラや奄美など、今からでは予約は難しいので、どうぞブータンで皆既日食を楽しみましょう! (結婚式をこの前後にしようと検討中)

2008年10月16日

サスティナはインドの神様!?

書いたことを読み返すと私もおばさんになったなぁとつくつぐ感じます。他国のことにああだこうだおせっかいですね。では自国はどうでしょう。
昨日、会社帰りのバスが発車したとたん、強風のクーラーが・・・。なんで今頃?フリージングバスの中で、みんな風の出口を横に向けたりしていまいた。バスが止まった時に運転手さんにクーラーは寒いです、と思わず言ってしまいました。窓を開ければいいのにね。環境のことを考えながら生きている人は一部のような気がします。最近“サステイナブル”という言葉を耳にします。サスティナはインドっぽい言葉の響きですが“持続可能な”という意味だそうです。この訳にピンと感じる方はいるのかなぁ。“地球が地球であり続けるために”だと、長いでしょうか。言葉だけの環境対策は意味がありませんね。ブータンではお買い物の時には大きなカゴを持参します。物を買ってもビニールには入れてもらえません。これは環境保護のために国がプラスティックバッグを禁止しているからだそう。日本も最近こそマイバックも増えましたが、国で禁止しちゃうって方法もありますね。慣れれば大丈夫ですよ、きっと。

2008年10月15日

循環しない物のゆくへ

後日談です。ミスブータンはある大企業のお嬢様だとか・・・。世界中にしがらみや不平等は存在するのかもしれませんね。という訳で今回の美意識は国民の心が必ずしも反映されたと限らないと分かり、ある意味ホッとしました。
さて、ブータンで禁止されているもので驚いたのは“煙草”です。入国の際にうるさく聞かれました。2004年に環境保護と仏教的な意味合いなどから、世界初の禁煙国となり販売が禁止されたそうです。けれど、町では日本の学生さんみたく隠れて吸っているのを何度か見かけました。なので、それ程までに厳しい感じてもないのかもしれませんね。喫煙者にとってニコチンパッチもない国で、禁煙はかなりキツイでしょう。
ブータンの町を歩いていると、あちこちに赤いものが落ちています。これは昔ながらの風習“ドマ”です。ドマは熱帯産の果実で、これに石灰粉をつけ、ヤシ科であるビンロウジュの葉っぱに包み、ガムのように噛みます。日本では嗅いだことのない匂いを発するので気になる方もいるでしょう。口の中が真っ赤になるので最初は驚きました。刺激があるので、よくペッペと唾をはいていて、シンガポールなら皆な罰金刑です。友好の証として、私もドマを何度か勧められましたが、さすがにまだ噛む勇気はありません。ドマは植物なので、通りに捨てても自然に還ってゆくのですが、町には結構ゴミも落ちています。煙草禁止も王様の意見が大きそうなので、ドマ以外の“ポイ捨て禁止”も考えて欲しいですね。たぶん、以前は自然に還ってゆくものしかゴミとして出なかったのだと思いますが、最近は自然に還らない商品が入るようになり、ゴミへのルールが追いついていないのかなぁと感じました。商店のあるゴチャゴチャした所に王様はいらっしゃらないと思うので、町の汚さはご存知ないのかもしれませんね。

2008年10月14日

ちょっとした思いつき

結婚の申請をしたブータン最高裁判所で、何の仕事をしているのかと裁判官から聞かれました。ドキュメンタリー映画を作る会社に勤めていると応えたら、BBC(ブータン唯一のテレビ局)で企画の仕事をするといいでしょう、と言われました。結婚の手続きでそんな心配までしてくれておもしろい国だなぁと感じたのでした。ブータンに詳しい方々が異口同音に、もう少し前のブータンの方が魅力的だった、と言います。1999年の海外テレビ解禁とインターネットの影響もあり、当事者は気づかなくても、ここ10年で国が大きく変わってきているのだと思います。前にも書きましたが民族衣装を着て、携帯を持つ姿はどうもしっくりきませんでした。ただ、ブータン国民の立場で考えれば、便利なものやカッコイイものを知って、手に入れる能力があるなら、それは手に入れたいと思う気持ちは当たり前のことですね。先日行なわれたミスコンの結果を見て、私は軽いショックを受けました。私の中でブータン女性の美しさは、少し恥ずかしがり屋さんで、謙虚だけれどもプライドはしっかり持つ、そんなイメージを抱いていました。なのでベリーダンサーのような格好で官能的に踊る特技なんて思いも寄りませんでした。ブータン人口の56%は24歳以下なので若者の国と言えます。彼らの世代は外国の影響をとても受けているでしょう。よく日本のテレビなどのブータン特集で、「私達はとても幸せです」とインタビューが放映されていますが、自分達の国の素晴らしさに気づいていない若者もいるのかなぁと感じます。ちょっとした思いつきですが、外国の人達があなた達の国を、そして国策をどう思っているのか、インタビューした物をBBCに出そうかなぁなんて、思っちゃいました。ブータン人口の3.3%と同じ人数が日本の一年間の自殺者数です。内政干渉する気はまったくないのですが、自分達の良さに気づかないのは、もったいないなぁと感じちゃいました。

2008年10月13日

美の伝承

今日は日本舞踊の発表会を見て来ました。舞いはもちろんのこと、何をとっても美しい世界でした。衣装の他、手先や目線などの所作、音や間合いなど、さまざまな要因で“美”が生み出されます。その何かひとつでも欠ければ究極の美は生まれないでしょうね。このために大変な努力があるだと思います。教科書さえ読めばその技術や能力がつくものではないですね。ここにこそ“文化”の素晴らしさがあると思います。師匠や先生などのお手本となる方がいて、身体を使って技術を習得し、それと共にその魂まで受け継ぐんですね。簡単には生み出せないところに“美”は存在するんだなぁと感じました。継承する文化が美しいのは日本だけではなく、世界共通なのだと思います。ブータン文化の代表格としてツェチュというお祭りがあります。私はまだ見たことはありません。祭祀ですのでお寺の行事です。僧侶たちが色鮮やかな衣装をまとい仮面をつけて踊ります。このツェチュはブータン国民の最大級の楽しみで、女性は選りすぐりのキラを着て、お洒落して行くそうです。お祭り自体も素晴らしと想像できますが、見物人を見るのも楽しそうですね。
文化も環境も人の努力なしでは守りきれないのだと感じます。美しさとは人を含む様々なものを大切にし、畏敬の念もあって綿々と続くのだと思います。だからこそ文化は無くしてはいけないのだと感じました。私はブータンに行ってもブータン文化と同じくらい、日本文化を大切にしたいと思いましたよ。

2008年10月12日

美しさに魅せられて

日本は寒いの暖かいの?ブータンの衣装も持って行った方がいい?パソコンもあった方がいいかなぁ・・・など、彼から気の早いメールが届きました。まだビザが取れていませんが、もう気持ちはすっかり日本のようです。来日した折りには、京都と沖縄とTDLに行こうと思っています。他におススメの場所があれば教えて下さい。ブータンへ旅立つ前にみんなが集りを計画してくれているので、ブータンの衣装“キラ&ゴ”をお見せできればと思っています。ただ、私はキラを自分で着ることができません。さすがに彼も女性の着付けは出来ないと思うので、スカートの方はグルグル巻きにしちゃおうと思います。
女性の衣装“キラ”は一枚の大きな織り布で出来ています。まず薄めのブラウスを着て、その上にキラをぐるっと体に巻き、両肩部分を専用の留め金で留めます。腰に伊達締めに似たベルトを巻き、場合によってはその上にジャケットを羽織ります。これが昔ながらの着方です。キラはロングのジャンパースカートのような感じです。最近は体全体を巻くのではなく、腰から裾までに簡略化したロングスカートタイプの“ハーフキラ”を着ている方も多いようです。ハーフだと、だいぶ軽くて動きやすいです。私も奮発して写真のハーフキラを買いました。キラは手織とインド製の機械織りがあり、材質、細工の細かさによって値段はピンキリです。染織はブータンの伝承文化で母から子へと受け継がれていきます。天然の草木で染められた糸を紡ぎ、何日も掛け機織し、一枚のキラが出来上がります。日本の着物と同じように着方やTPOなどのルールがたくさんあるようですが、その辺はまだわかりません。化学染料や機械折りのキラはお手頃で日常には良いとおもいますが、植物染めの質の良いキラは、まるで美術作品を見ているようです。ブータンの女性はみんなこのキラを着てアイデンティティを持ち続けているんですね。

2008年10月11日

ミス日本

ミスブータンが決まったようですよ。その基準はブータンらしいのでしょうか。コンテストという発想自体が西洋的な感じがするので、きっと同じような価値基準で決めるんでしょうね。こちらではミスコン廃止論も聞こえてきますが、ブータンではこれからが歴史が始まるようです。
さて、今日は私が知っている日本女性で最も美しい内野加奈子さんのお話を聞いてきました。昨年“ホクレア”(希望の星)という名のカヌーがハワイからミクロネシアを通り日本まで5ヶ月間の航海を成功させました。航海の出発地であったハワイ島でホクレアと彼女に初めて会った時の写真です。彼女は日本人初のホクレアクルーで海洋の調査研究する他、写真家でもあります。ホクレアは海図やコンパス、動力など一切使わずに、星や風、波や鳥など、ありとあらゆる自然のサインを五感で感じ、方角を定め航海します。自然を読む“伝統航海術”は師匠から弟子へ受け継がれます。このホクレアについては、ここで書ききれませんのでサイトを見てみてください。ホクレアの航海は単なる冒険ではありません。彼女はホクレアの航海を通し、古の叡智を現代へと繋げる様々なヒントを、自身の写真と素晴らしい感性で私たちに伝えてくれます。私はお話を聞きながら何度も涙がこみ上げ、ぐっと我慢しました。自然と人との関わり、人と人、宇宙と人、そして生きとし生けるものの存在意義など、たくさんのことをしなやかな語りで教えてくれます。私は同じ日本女性に、こんなにステキな人が居ることがとても誇らしく、嬉しくてなりません。かなちゃん、ありがとう。ミス日本という枠に、はまりきれませんね。

2008年10月10日

前世でなにが起こったか

ダライ・ラマ法王は今朝、手術をされたそうです。一日も早い、ご回復をお祈りいたします(写真は4月10日の会見時)。さて、宗教には色々とありますが、何がポイントで人は宗教を決るのでしょうか。ブータンは国教がチベット仏教ですので、生まれながらにしてほとんどが仏教徒ですね。いま日本の場合は、生まれながらに○○教という方は少ないかもしれません。自分が色々知っていく上で宗教を選ぶ人が多いように感じます。日本では宗教団体が悪いことをしている影響もあって、特定の宗教を持たない人も多いですね。小さい頃から特に何かを信じなさい、とは言われてこなかったのでキリスト教も勉強したりしました。しかし、私は教会に入ると言いようのない恐怖感に襲われます。東京でも、ニューヨークでも、長崎でも、ハワイでも、どこであっても教会に入ると、とにかく何か怖いのです。先日、仕事中に聞いていたCDでグレゴリオ聖歌が流れた時も同じ感覚になり、上司に「こういう歌を聞くと、言いようのない恐怖感が沸いて来るんですよ」と、何気なく話したら「それは前世で何かあったのね」と言われ、合点がいきました。前世とかってハッキリ言ってよく分かりませんが、妙に納得してしまいました。前世を見る番組がブームで、世間や特に若い女の子が振り回されている感があり、何でも“前世が原因”にしちゃうのは、どうかと思うのですが、前世に何かあった・・・、というような考え自体は、前向きであれば別にいいのかなぁと思います。前世が何者だったかを深く追求することは無意味な気がします。私は仏教が好きで、色々勉強しています。好きに理由はありません。なので、これは前世の縁かなぁとも思います。
占いには気持ちが弱っていると振り回されちゃうこともあるので、あくまでも人生の参考なんだと思います。と言っておきながら、若かりし25歳の頃、銀座の父に見てもらったことがあります。36歳からおばあちゃんになるまで、ずっ~と幸せと言われ、なんで36歳なんだろうと疑問を持ちながらも、良いことなので何となく頭の片隅にありました。本当に36歳の時、大きな出来事があったので、そんなことってあるんだなぁと思いました。幸せかどうかは、おばあちゃんになってみないとわかりませんが、ほぼ当たっているような気もします。
私がブータンに行ったら、彼は結婚式をしたいそうで、その時期はお坊さんに占ってもらうそうです。ブータン流ってことで、それには従おうと思っています。足元はしっかりしておいて、占いを通して、大きなものに委ねることは、感謝の表れのひとつでもあるのかなぁと思っています。

2008年10月8日

読書の秋

ドキュメンタリー映画を作る会社にいるので職場にはさまざまな本があります。読みたい本ばかりなのですが、なかなか時間が取れません。かなり前に刊行され読みたいなぁと思っていた本があったので借りてきました。坂本教授が監修した「非戦」です。まだほんのわずかしか進んでいませんがグサグサ突き刺さります。9.11を始めとするさまざま戦いと、その原因について書かれています。環境のこともですが、こういった世界の現実を前にすると、個人はあまりにも小さく、手に負えないのことがほとんどなので、その感情を昇華できず「世の中なんてそんなもんさ」と皮肉屋さんになり、どこかワサワサだけが残ります。けど、それもしばらくすれば忘れてしまうのがほとんどですね。以前、NGO&外務省&経団連からなるJPFに小学生に交じってお話しを聞いたことがあります。子どもから、ボク達は何をすればいいですか?との質問に、スタッフの方は、戦争や災害などの支援に直接関わることも大切だけど、みんながみんな直接関わることは出来ないので、まずは世界で何が起きているのかをきちんと知ることが大切です、と仰っていました。ほんと、そう思います。現実にひしがれてしまうこともありますが知るからこそ、考えることが出来るんだなぁと思います。また、ダライ・ラマ法王の講演会では、あるお母さんから「ひどい事件ばかり多く起きていて、それを子どもにどう説明すればいいのでしょうか」と相談がありました。「悲しい事件も多いけど、素晴らしこともいっぱいあることを忘れてはいけません。マスコミは素晴らしいことも、もっと報道するように」と仰っていました。(来月6日にダライ・ラマ法王講演会あり)
悲しみは悲しみを増幅させ、憎しみは憎しみを増幅させ、喜びは喜びを増幅させ、幸せは幸せを増幅させるとつくづく思います。世界の現実に目を向けると同時に、ブータンの地でささやかな幸せを作っていきたいと思っていますよ。

2008年10月7日

新たな経験

今までずーっと逃げてきたことがあります。それはずばり、イングリッシュ!大学院まで行っておきながら、どうにかこうにか逃げてきました。にがて意識を持っているので余計に拒否反応を起こしちゃうんですよね。頭の片隅には「英語を勉強しないと・・・」が、もう何十年と住み着いています。にも関わらず結婚した相手は外国人、しかもこれから暮らすブータンは英語か現地語ゾンカが出来ないと会話が成り立ちません。こんな年になって勉強かぁ・・・。
今日はじめて英会話というものに通ってみました。先生の言ってることはわかるのですが、どうしても日本語が出ちゃうのです。こりゃぁ、かなり手ごわそう。意気消沈ぎみに帰りの電車の中で、この人は英語は話せるのかなぁ・・・、この人は話せそうだなぁ・・・と、くだらない想像し、そんな自分がおかしくって、これからの人生を考えるとあまりにお粗末すぎて、返って開き直ってしまいました。若いうちは暗記力もあって、どうにかすれば覚えられましたが、最近は名前が思い出せないなど、忘れることの方が多く、あまり頭を使っていないので、脳が退化してるだろうなぁと感じていました。これからちょっとづつですが、単語などを覚える必要があるので、ボケ防止になりそうです。小坊主さんも一生懸命、お経を暗記していますね。この年になって初めて体験することがたくさんあると思うと、何だかとてもワクワクします。

2008年10月6日

幸せに包まれて

歩いているだけで幸せいっぱになる香りがしてきますね。帰り道、どこからか漂ってくる晩ご飯の匂いも幸せを感じますが、この時期は全身で幸せを感じる香りに包まれます。我が家には宝の木とも言えるキンモクセイが3本あります。毎年この時期に味わってきた至福の香りを、来年は感じることができないのでしょうか。いえいえ、ブータンにもたくさんお花があるので、きっと色々と楽しめることでしょう。慣れてくれば花の変化で四季の移り変わりを感じられると思います。先日いただいたブータンからのお便りには、どこを見渡してもコスモスが満開とありました。ステキでしょうね。ブータンの国花はブルーポピー(青いケシ)だそう。標高が高いところで咲く花なので 、これを見るために山登りが必要ですね。この写真は4月終わりに撮った石楠花(シャクナゲ)です。シャクナゲにもいろんな種類や色があるみたいです。ブータンにはお花を目的に観光客がたくさんやってきます。彼はお花の本を作りたいと言っています。私もブータンに行ったらたくさん写真を撮って、ブータンの魅力いっぱいの写真集を作ってみたいですね。

はじめての日本

彼は元々外国の文化にとても興味を持っていました。結婚するなら“外国人”と心に固く決めていたそうです。外国人なら私でなくてもよかったのかしら・・・と突っ込みたい気もしますが、なんせ私は英語がちゃんとできませんので突っ込めません。そんな感じなのでコミュニケーションは英語ですが、正確には通じてはいません。お互いに自分の都合の良いように解釈しているので、それがうまくいくコツかもしれませんね。当初、彼は日本生活を体験しながら日本語を学びたいと言っていました。日本語学校をいろいろと探したりしましたが、そう簡単に日本に入れないとわかりました。ビザを取るのって大変なんですね。そんな理由もあり、結婚してしまえば日本に来れるのでは・・・と、ふと頭に浮かび、出会ってから3ヶ月ちょっとで結婚することにしました。彼と一緒なら幸せになれるという根拠のない確信があり、遅かれ早かれ結婚するなら“善は急げ”という感じで結婚の手続きをしました。ちょうど今、日本滞在ビザに必要な書類を集めているところです。戸籍謄本、住民票、結婚証明書、身元保証書と保証人の預金残高証明、往復のエアー予約証明書など。それらの書類が集ったら、ブータンには日本大使館がないため隣国のインドにある大使館へ、彼が出向いてビザを申請します。一週間ほどで取得できるみたいです。ブータンでは国営の飛行機会社が1社あり、インドとバンコクに行き来しています(写真はブータンの空港)。ブータン人はインドへはビザなして行けるので、彼はインド経由で日本にやってきます。1ヶ月ほど日本に滞在し、戻る時は私という重たい荷物を持っていきます。私がインドに入るためにはビザが必要になります。インドのビザ申請書には、観光・仕事・学生などの目的がありますが、他にYOGAビザがありました。ちなみにカレービザはありません。

2008年10月5日

驚きの王様

なに一番驚いたかと言いますとイイ男ぶりにですが、現国王のお父様である第4代国王には、びっくり仰天することばかりです。ブータンは今年から議会制民主主義(二院制)となり、この3月に選挙が行われました。これによりブータンには、たくさんの物語が生まれたようです。立憲君主制となり、憲法により君主の権力は制限され、国民が主権を持ちます。何を持って普通というかはわかりませんが、普通、民主主義になることを国民は喜ぶものでしょうが、ブータンの場合は必ずしもそうではなかったそうです。そもそも民主化は国が抱える問題や不満に対し民衆が爆発し、立ち上がり、戦いなどを経て掴んでいくものですが、ブータンの場合、君主が“自ら”主権を国民に譲っちゃったのです。こんなこと聞いたことありません。“知足”で生活するブータン国民は民主化される前も幸せを感じていたそうです。なので、今も幸せなのになぜ選挙をしなければいけないのかと、親政の継続を望む人も多かったようです。選挙を追ったドキュメンタリー番組では「2人とも国のために良いことをしようとしているのに、どうして1人を選ばなくていけないのか・・・」と真剣に悩む国民を追っていました。国王は民主化を国民に説得するため、「今は良い国王がいたとしても、あす悪い国王が現れたら一体どうするのか・・・」と。ありえないですよ、こんなせりふ。苦肉の言葉にも感じます。そこまで心配しちゃってるんですか、王様。とても深い智慧を持つ国王は経済の発展が必ずしも人を幸せにするとは限らないと若いうちに悟り、GNPで示されるような金銭的・物質的な豊かさを目指すのではなく、精神的な豊かさ“幸福”を目指すべきだと、1976年にGNPならぬGNH(Gross National Happiness/国民全体の幸福度)という概念を提唱し、尽力しました。第4代国王は30年も前に、そんなことに気づいちゃった人で、しかもイケメンなのです。どうしましょう、キャ~!

2008年10月3日

Roasted Earth

古巣での環境イベントに参加してきました。以前はイベントを開催する側でしたが遠ざかっていたのでとても新鮮でした。基調講演のアーヴィン・ラズロ博士は哲学者・物理学者・音楽家です。映画ガイアの中で博士が言う“カオス理論”は、私には難し過ぎて理解しきれなかったのですが“生”は違いますね。私が勝手に博士の話は理解しきれないと思い込んでいたようです。お話は端的で分かりやすくロースティッド・アースという言葉にドキッとしました。ローストチキンじゃなく、地球ですよ。自然界のスピードと私たちの生活や経済のスピードが合わず、急ぎすぎてしまったようです。今、手を打たなければ残念な道をたどるけど、何かを起こせば良いとのこと。地球上にある資源エネルギーは有限ですが、太陽エネルギーを利用すれば、すべての問題は解決できるとのお話でした。今の日本で生活するには地球にとってはどうしてもマイナス的にしか生きれないと、少し悲しく思っていました。イベントをやったり情報発信をしていてもどこかに虚しさがあり、それに焦りもプラスされ、たまに失望さえ感じる程でした。なので私にとってブータンで暮らすことはとても嬉しいことなのです。実際に生活してみればすごく不便だと思いますが、CO2排出は今より少なくなるでしょう。ブータンは法律で森林を60%以下にしてはいけないと定められているそうです。環境のことを考えると、究極は“欲”を抑えること以外に方法はないと私は思っています。手に入れようと思えば何でも手に入ることは嬉しいことだけど、不幸物語の始まりでもあるのです。老子の言う“知足”が重要そうです。余談ですが最近、老子ってスゴイってつくづく感じます。紀元前の言葉が今も活き続けています。環境に対してはブータンからたくさんのヒントをもらえそうですね。

2008年10月1日

これからのゆくへ

もしメールがなかったら、彼と結婚に至っていただろうか・・・。日本人同士でも、こんな風に考える人はいると思います。もちろん私の場合はメールがなくても結婚していたでしょう(ほんまかいな)。ブータンは1974年まで鎖国に近い状態にあり、衛星テレビやインターネットの解禁は1999年だそうです。なので海外情報が国民に入るようになって、まだ10年経っていないんですね。彼が夢中になってテレビを見る原因がなんとなくわかりました。テレビが大好きで、いつも見ながらゲラゲラ笑ってます。ティンプーの町では日本と変わらず、携帯電話を持つ人の姿を見かけます。お坊さんも普通に携帯を使っていたので、ちょっと驚きました(写真)。彼のお父さんに何か欲しい物はないか聞いた所、やはり携帯でした。民族衣装に携帯がなぜかミスマッチに思えてしまいます。ブータンでネットを使った時は、ダイアル回線のせいだと思いますが、とっても遅く、繋がったり繋がらなかったりと、気ままな猫のような回線でした。最初に彼に出会った時、携帯番号を聞かれましたが、私は持っていないので“ない”と応えていましたが、何度も何度も聞かれたので、持ってるのに教えてくれないと勘違いしたのかもしれませんね。今は週に1回くらい、スカイプを使って彼の携帯にかけています。携帯に繋がらなかったことは今までなく、繋がらないような場所へ行く時は、事前に教えてくれます。仕事で地方に行く時はメールができないこともありますが、普段は日に何度かメールが届きます。メールがパタッとない時は大概、ネットワークが繋がらないことが原因のようです。まだまだ環境は整っていないようですが、携帯もメールもできる国なので、情報は何でも手に入れることができます。独自の文化をかたくなに守り続けたブータンは、弥が上にも入ってくる情報や西洋の文化をどう受け入れ、どう進んでいくのか。国自体が過渡期にあるのかもしれませんね。
[おまけ] もうすぐミスブータンが決るようですよ(名前をクリック)。