2009年7月2日

素朴な幸せ

外を見ればたくさんの鳩が空を旋回して飛んで行きます。♪ロート、ロート、ロート~♪と頭で回ります。さて、中国国営放送によれば、チベット地域は干ばつに襲われ13000頭以上の牛が死んでいるそうです。山向こうの話ですが、温暖化によるヒマラヤの氷河決壊はブータン側にも影響を及ぼすことになるでしょう。これがいつ来るかは分からないので日頃から川の側には寄らないように心掛ける必要があります。ブータンではもっと警告を発した方がいいとは思いますが、なんせ川沿いの住んでいる人が多いので、迂闊に政府は口にできないのでしょうね。

NHK国際で築地特集をやっていたので、観て後悔。あまりにも寿司がウマそうでした。外の景色を眺めながら“あれ、私、なんでブータンにいるんだそろう…”とふと思いました。何だか笑えましたが、すぐ応えは見つかりました。タシさんを好きだからですね!海外に住むなんて考えても見ませんでした。でも、現実は海外、しかもまだ謎の多い国に住んでいるので、人生って面白いなと感じます。

ブータンでは小学校に行く前、日本で言う幼稚園の段階からテストがあって、1年生ですべて数値化され評価されてしまいますが、私立の学校で小さな頃にはテストがない学校もあるそうです。それを聞いて少し安心しました。日本では7歳くらいは大きなランドセルを背負って、早起きして準備して、決められた時間は机に座って、休み時間にお友達とめいいっぱい遊んで、人として生きて行くための生活基盤を整える時期ですね。そんな時から暗記のことに頭がいっぱいいっぱいなのは良くないな、と私は感じます。ブータンは“幸せの国”で97%が幸せと応えていますが、この国は意外や意外、数値国家なんだなぁと感じます。幸せを数値化できる国だからこそ、教育もすべて数値で表そうとするんだなぁと、先進国以上に進んだ部分も見えてきました。

ブータンに来てまだ4ヶ月ですが、本当にブータンに来て良かったなぁと思えることがいっぱいあります。タシさんと一緒に暮らすということはもちろんですが、一番大きなものとして、大家さん一家(親戚を含む)との出会いですね。大家さんの人間性の素晴らしさはもちろんですが、家族の在り方にとても考えさせられました。ブータンは先進国と違って、大人になっても個々が自立していくのではなく、生涯に渡って家族との縁が密接です。これは経済的な要素が大きいでしょう。余裕がなければ自立はできませんね。米国のように家族からの自立に価値を見出すのとはまったく逆の生き方です。大家さんの家は大勢いますが、皆それぞれ役割を持って家計を支えています。外で働く人はもちろん、外で働かない人は家の中で織物をしたり、工芸品を作ったりしています。そして土の痩せた菜園では皆して石をのぞいたり、山奥から取ってきた腐葉土をまぜたりして、収穫できるものを計画的に植えていきます。そしてお休みの日にはよくお参りに家族みんなで行きます。赤ちゃんは見れる人が代わる代わる世話をし、というより、全員がカワイイと思っているので、むしろ奪い合いと思えるくらいブチューっとされ、赤ちゃんの一挙一道は皆を幸せにしています。家の方向性は年長であるお婆ちゃんが取り仕切り、みなそれを素直に受け、怖れを抱きつつも尊重しています。アパート建設のローンや息子の大学の費用など、家計は火の車のようで、新たに夜の空いた時間にお菓子を女性陣は作り、販売していくそうです。家族でみんなでチョルテンを周りに行き、人には優しく、そしてユーモアがあって、笑いは堪えません。個々の人間性には仏教の教えがベースにあり、体にしみ込んでいると感じます。この一家のある姿は私は最高の家族だと感じました。もちろん生活は苦しいかもしれないけど、人として生きていく生き方として、個々がとても美しいと感じています。ブータンでは貧富の開きがあります。大きな家に住みメイドさんを雇って生活している家も多くあります。雇用の拡大という面でメイドさんは良いのかもしれませんが、やはりそこには上下が存在し、それを消すことも間違っていると感じます。私はやはり家族は家族て助け合いながら生きることって、一番重要なことだなぁと感じます。大家さん一家の生き方は、すごく素朴だけど、これほど幸せで尊いことってないな、と感じます。私のブータンライフは始まったばかりですが、いつか大家さん一家のように素朴に生きられたらなぁと思います。

(写真:夜のチョルテンも素敵)

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